登紀子 男情歌~SOUL SONGS~

加藤登紀子 登紀子 男情歌~SOUL SONGS~歌詞
1.俺の人生

作詞:なかにし礼
作曲:加藤登紀子

思い出せば 悔しくて 眠れないこともある
また恥しくて 汗ばむようなこともある
何もかもが 上手くは 行かなかったが
俺の人生 こんなとこだろう

人生は船に似て
嵐もあれば 時化もある
だけど俺は どんな時にも
この船だけは はなれなかった

ああ船よ 船よ 旅はまだつづく
俺を連れて ゆけよ かすみのかなたへ

胸の奥に 今もなお 消え去らぬ恋がある
また仲間たちと 唄いたりない歌がある
良くやったと 自分を ほめはしないが
俺の人生 こんなとこだろう

人生は船に似て
マストは折れる 穴があく
だけど俺は 誰の船とも
とりかえたいと 思いはしない

ああ船よ 船よ 旅はまだつづく
俺を連れて ゆけよ かすみのかなたへ

ああ船よ 船よ 旅はまだつづく
俺を連れて ゆけよ かすみ のかなたへ


2.吾亦紅

作詞:ちあき哲也
作曲:杉本眞人

マッチを擦れば おろしが吹いて
線香がやけに つき難(にく)い
さらさら揺れる 吾亦紅
ふと あなたの 吐息のようで...
盆の休みに 帰れなかった
俺の杜撰(ずさん)さ 嘆いているか
あなたに あなたに 謝りたくて
仕事に名を借りたご無沙汰
あなたに あなたに 謝りたくて
山裾の秋 ひとり逢いに来た
ただ あなたに 謝りたくて

小さな町に 嫁いで生きて
ここしか知らない 人だった...
それでも母を 生き切った
俺、あなたが 羨ましいよ...
今はいとこが 住んでる家に
昔みたいに 灯りがともる
あなたは あなたは 家族も遠く
気強く寂しさを 堪えた
あなたの あなたの 見せない疵(きず)が
身に沁みて行く やっと手が届く
ばか野郎と なじってくれよ

親のことなど 気遣う暇に
後で恥じない 自分を生きろ
あなたの あなたの 形見の言葉
守れた試しさえ ないけど
あなたに あなたに 威張ってみたい
来月で俺 離婚するんだよ
そう、はじめて 自分を生きる

あなたに あなたに 見ていて欲しい
髪に白髪が 混じり始めても
俺、死ぬまで あなたの子供...


3.夜明けのメロディー

作詞:五木寛之
作曲:弦哲也

朝の光が さしこむ前に
目覚めて 孤独な 時間が過ぎる
あの友は あの夢は 今はいずこに

還(かえ)らぬ季節は もう
忘れてしまえばいい
すてきな思い出だけ 大事にしましょう
そっと 口ずさむのは 夜明けのメロディー

花のいのちは みじかいけれど
重ねた 歳月(としつき)背中に重い
歓びも 悲しみも みんな人生

愛して 別れて また
どこかで逢えばいい
ちいさな幸せでも 大事にしましょう
そっと 口ずさむのは 夜明けのメロディー

還(かえ)らぬ季節は もう
忘れてしまえばいい
すてきな思い出だけ 大事にしましょう
そっと 口ずさむのは 夜明けのメロディー

そっと 口ずさむのは 夜明けのメロディー
夜明けのメロディー


4.人生に乾杯を!

作詞:中山卯月
作曲:中山卯月

別れの時は近づいてる
抜け殻みたいな太陽抱き締めて
見飽きたこの街で杯を交わす
勝ち組 負け組
人によっては色々あるけど
つまらない区別や劣等感も
ごちゃまぜにとにかく歩いた月日
俺たちはそうさ トムソーヤじゃないか
無限のネオンに漕ぎ出していく

ああいつの間に流れ行く毎日が 雲のように
風のように鳥のように飛んでゆく
あなたに乾杯しよう乾杯しよう乾杯しよう
戸惑いを飲み干して またひとつ酔えばいい
別れの悲しみを寂しさを
切なさを背負うたび人は皆
人生に慣れていく

あの頃のことを覚えているかい
真っ赤ッ赤な眼をして朝日を数え
無理だって誰もが言えないような
リベンジ誓った あの顔つきのまま
ああ 広い海 目の前に潮風に立ち尽くす
目を伏せず蜃気楼焼き付けて

みんなで乾杯しよう乾杯しよう乾杯しよう
青春がプカプカと泡になり はじけ飛ぶ
今日の日を忘れない それぞれに抱きしめて
強くなる 俺たちは 人生を手に入れる

最後に乾杯しよう乾杯しよう乾杯しよう
胸の奥 秘めた事 今夜なら言えるかな
時には叫びあいハシャギ合い競いあい
裏切りも少しだけ 人生はチャンポンさ

必ず乾杯しよう乾杯しよう乾杯しよう
この次に会う時は指を差しからかおう
いつの日か夕焼けの帰り道 眩しげに
振り返る我が道に人生に乾杯を!


5.わが人生に悔いなし

作詞:なかにし礼
作曲:中山卯月

鏡に映る わが顔に
グラスをあげて 乾杯を
たった一つの 星をたよりに
はるばる 遠くへ 来たもんだ
長かろうと 短かろうと
わが人生に 悔いはない

この世に歌が あればこそ
こらえた涙 いくたびか
親にもらった 体一つで
戦い続けた 気持ちよさ
右だろうと 左だろうと
わが人生に 悔いはない

桜の花の 下で見る
夢にも似てる 人生さ
純で行こうぜ 愛で行こうぜ
生きてる かぎりは 青春だ
夢だろうと 現実(うつつ)だろうと
わが人生に 悔いはない
わが人生に 悔いはない


6.黒の舟唄

作詞:能吉利人
作曲:桜井順

男と女の間には ふかくて暗い河がある
誰れも渡れぬ河なれど エンヤコラ今夜も舟を出す
Raw & Raw Raw & Raw
ふりかえるな Raw & Raw

おまえが十七おれ十九 忘れもしないこの河に
ふたりの星のひとかけら ながして泣いた夜もある
Raw & Raw Raw & Raw
ふりかえるな Raw & Raw

あれからいくとせ漕ぎつづけ 大波小波ゆれゆられ
極楽見えたこともある 地獄が見えたこともある
Raw & Raw Raw & Raw
ふりかえるな Raw & Raw

たとえば男は阿呆鳥 たとえば女はわすれ貝
まっかな潮が満ちる時 失くしたものを想いだす
Raw & Raw Raw & Raw
ふりかえるな Raw & Raw

おまえとおれとの間には ふかくて暗い河がある
それでもやっぱり逢いたくて エンヤコラ今夜も舟をだす
Raw & Raw Raw & Raw
ふりかえるな Raw & Raw

Raw & Raw Raw & Raw
ふりかえるな Raw & Raw

Raw & Raw Raw & Raw
ふりかえるな Raw & Raw


7.時代おくれの酒場

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

この街には不似合な
時代おくれのこの酒場に
今夜もやって来るのは
ちょっと疲れた男たち
風の寒さをしのばせた
背広姿の男たち

酔いがまわればそれぞれに
唄の一つも飛び出して
唄を唄えば血がさわぐ
せつなさに酔いどれて
気がつけば窓のすきまに
朝の気配がしのびこむ

あーあどこかに何かありそうなそんな気がして
俺はこんな所についつまでもいるんじゃないと

この街には住みあきて
俺の女もどこかへ行った
あいつ今頃どこでどうして
どんな男といるんだろう
夢のにがさを知りもせず
夢をさがしているんだろう

あーあどこかに何かありそうなそんな気がして
俺はこんな所にいつまでもいるんじゃないと

この街には不似合な
時代おくれのこの酒場に
今夜もやって来るのは
違う明日を待つ男
今夜もやって来るのは
昨日を捨てた男たち


8.知床旅情

作詞:森繁久彌
作曲:森繁久彌

知床の岬に はまなすの咲くころ
思い出しておくれ 俺たちの事を
飲んで騒いで 丘にのぼれば
はるかクナシリに 白夜は明ける

旅の情けか 飲むほどにさまよい
浜に出てみれば 月は照る波の上
今宵こそ君を 抱きしめんと
岩かげに寄れば ピリカが笑う

別れの日は来た ラウスの村にも
君は出てゆく 峠をこえて
忘れちゃいやだよ 気まぐれカラスさん
私を泣かすな 白いかもめよ
白いかもめよ


9.されどわが心

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

去りゆくものは 日々にうとし
花の生命は短い
燃える炎は いつか消え
過ぎ行くものは 帰らない

されど いとしき想いは 熱く
胸の奥に あふれてやまず
されど いとしき想いは 熱く
胸の奥に あふれてやまず

愛は迷いのはじめなり
人の心はうつろう
サヨナラだけが人生の
道のりを深く きざむ

されど 愛する想いは 深く
君の心を 求めてやまず
されど 愛する想いは 深く
君の心を 求めてやまず

届かぬものよ されどわが心
尽きせぬものよ されどわが人生

されど 愛する想いは 深く
君の心を 求めてやまず
されど 愛する想いは 深く
君の心を 求めてやまず

めぐりめぐる 時のいたずら
悲しみさえも 心を飾る
めぐりめぐる 時は休まず
見知らぬものに めぐり合わせる
ラララ…


10.琵琶湖周航の歌

作詞:小口太郎
作曲:小口太郎

我は湖(うみ)の子 放浪(さすらい)の
旅にしあれば しみじみと
昇る狭霧や さざなみの
滋賀の都よ いざさらば

松は緑に 砂白き
雄松が里の 乙女子は
赤い椿の 森蔭に
はかない恋に 泣くとかや

波のまにまに 漂えば
赤い泊火(とまりび) 懐しみ
行方定めぬ 浪枕
今日は今津か 長浜か

瑠璃の花園 珊瑚の宮
古い伝えの 竹生(ちくぶ)島
仏のみ手に いだかれて
眠れ乙女子 安らけく


11.銀座のすずめ

作詞:野上彰
作曲:仁木他喜雄

たとえどんな人間だって 心の故郷があるのさ
おれにはそれが この街なのさ
春になったら 細い柳の葉が出る
夏には雀が その枝でなく
雀だって唄うのさ 悲しい都会のちりの中で
調子っぱずれの唄だけど 雀の唄はおいらの唄さ

銀座の夜 銀座の朝
真夜中だって 知っている
すみから すみまで 知っている
おいらは 銀座の雀なのさ
夏になったら なきながら
忘れものでもした様に 銀座八丁 飛びまわる
それでおいらは うれしいのさ

すてばちになるには あまりにも明るすぎる
この街の夜 この街の朝にも
赤いネオンのあかりさえ 明日の望みにまたたくのさ
昨日別れて 今日は今日なのさ
惚れて好かれて さようなら
あとには何も 残らない

春から夏 夏から秋
木がらしだって 知っている
みぞれのつらさも 知っている
おいらは銀座の 雀なのさ
赤いネオンに 酔いながら
あすの望みは 風まかせ
今日の生命に 生きるのさ
それでおいらは うれしいのさ


12.酒は大関

作詞:小林亜星
作曲:小林亜星

白い花なら百合の花
人は情と男だて
恋をするなら命がけ
酒は大関 心意気

赤い花なら浜なすの
友と語らん故郷(ふるさと)を
生まれたからにはどんとやれ
酒は大関 心意気

夢は人には見せぬもの
勝負する時や馬鹿になれ
それでいいのさ男なら
酒は大関 心意気

女泣かせるやつよりも
好きだといわないその背なに
女ごころはもえるもの
酒は大関 心意気

花と咲くのもこの世なら
踏まれて生きる草だって
唄を唄って今日もまた
酒は大関 心意気


13.酒がのみたい

作詞:Barton Crane・訳詞:森岩雄
作曲:Barton Crane

酒飲みは 酒飲めよ
酒があれば オイ 怠け者
水はとても おいしいが
酒飲めば 僕楽しい
万歳! 乾杯!
養老の滝が 飲みたい
もしなければ 酒徳利
酒飲め 酒飲めよ


14.自由に生きるってどんなことだろう

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

大きなものにまかれたくないと
しこしこ自分らしく生きて来たんだ
強いものから逃げて来たわけじゃないが
強くなればなるほど無理をさせられる

自由に生きるってどんなことだろう
誰にも気がねせずに生きるってことだろうが
仕事じゃそんな余裕はないし
みんな自分を捨てて生きてしまうんだ

久し振りに逢えばもとのお前だが
昔みたいなバカはもう出来ないだろう

ここは戦場じゃないよ
何を気にしているのさ
ここは自由の国だよ
もっと自分らしく生きていいのさ

こんなはずじゃなかったなんて
誰かのせいにするつもりかい
結局ぜんぶ自分の人生
みんな自分が蒔いた種

かっこよく生きたいと いきがって来たさ
これからだってまだまだ遅くはないよ
俺たちの底力 見せてやるのは
今が大事な正念場

そろそろ本気出して間違いだらけの世の中に
はっきりもの申す時が来ているのさ

ここは戦場じゃないよ
何を気にしているのさ
ここは自由の国だよ
もっと自分らしく生きていいのさ

ここは戦場じゃないよ
何を気にしているのさ
ここは自由の国だよ
もっと自分らしく生きていいのさ

生きていいのさ 生きていいのさ


15.海辺の恋

作詞:佐藤春夫
作曲:小椋佳

こぼれ松葉をかきあつめ
おとめのごとき君なりき
こぼれ松葉に火をはなち
わらべのごときわれなりき

わらべとおとめよりそひぬ
ただたまゆらの火をかこみ
うれしくふたり手をとりぬ
かひなきことをただ夢み

入り日の中に立つけぶり
ありやなしやとただほのか
海辺の恋の はかなさは
こぼれ松葉の火なりけむ


16.千の風になって

作詞:不詳・日本語詞:新井満
作曲:新井満

私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 眠ってなんかいません
千の風に 千の風になって
あの大きな空を 吹きわたっています

秋には光になって 畑にふりそそぐ
冬はダイヤのように きらめく雪になる
朝は鳥になって あなたを目覚めさせる
夜は星になって あなたを見守る

私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 死んでなんかいません
千の風に 千の風になって
あの大きな空を 吹きわたっています

千の風に 千の風になって
あの 大きな空を 吹きわたっています
あの 大きな空を 吹きわたっています


17.檸檬 Lemon

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

庭に植えた檸檬の木が 少し大きくなって
春の風に誘われて 白い花を咲かせた
いつの間に時が過ぎて いくつ春を数えたのか
思い出だけがいつまでも 木漏れ日にゆれている

忘れないあの夏の日 二人で歩いた
森の中どこまでも 地図にない小道を
空に響く鳥たちの声 騒ぎ立てる小さいいのち
山から吹く風に乗って とどいてくる夏のざわめき

何ひとつ変わらない 何もかもあの日のまま
ただひとつあなたがいない それだけが夢のよう

街の灯に迷い込んで さびしさにとまどう
どしゃぶりの雨の中 涙が止まらない
あなたのいない夜も朝も ひとりきりのこの部屋で
同じように生きている 私だけがいる不思議
あなたのいない今日も明日も 窓を開けて陽射し受けて
言葉のない風のように 夢のつづき探している
夢のつづき探している

秋のはじめ檸檬の木に 小さな実がゆれてる


18.キセキ

作詞:GReeeeN
作曲:GReeeeN

明日、今日よりも好きになれる 溢れる想いが止まらない
今もこんなに好きでいるのに 言葉に出来ない

君のくれた日々が積み重なり 過ぎ去った日々2人歩いた「軌跡」
僕らの出逢いがもし偶然ならば? 運命ならば?
君に巡り合えた それって「奇跡」

2人寄り添って歩いて 永久の愛を形にして
いつまでも君の横で 笑っていたくて
アリガトウや Ah 愛してるじゃまだ足りないけど
せめて言わせて「幸せです」と

いつも君の右の手の平を ただ僕の左の手の平が
そっと包んでくそれだけで ただ愛を感じていた

日々の中で 小さな幸せ 見つけ重ね ゆっくり歩いた「軌跡」
僕らの出逢いは大きな世界で 小さな出来事 巡り合えた それって「奇跡」

うまく行かない日だって 2人で居れば晴れだって!
強がりや寂しさも 忘れられるから
僕は君でなら 僕でいれるから!
だからいつも そばに居てよ「愛しい君へ」

2人フザけあった帰り道 それも大切な僕らの日々
「想いよ届け!!!」と伝えた時に 初めて見せた表情の君
少し間が空いて 君がうなずいて 僕らの心 満たされてく愛で
僕らまだ旅の途中で またこれから先も 何十年続いていけるような未来へ

例えばほら 明日を見失いそうに 僕らなったとしても、、、

2人寄り添って歩いて 永久の愛を形にして
いつまでも君の横で 笑っていたくて
アリガトウや Ah 愛してるじゃまだ足りないけど
せめて言わせて「幸せです」と

うまく行かない日だって 2人で居れば晴れだって!
喜びや悲しみも 全て分け合える
君が居るから 生きていけるから!
だからいつも そばに居てよ「愛しい君へ」 最後の一秒まで

明日、今日より笑顔になれる 君が居るだけで そう思えるから
何十年 何百年 何千年 時を超えよう 君を愛してる


19.いく時代かがありまして

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

いく時代かがありまして 茶色い戦争もありました
いく時代かがありまして 死んだ人もありました
いく時代かがすぎてゆき 忘れさることのかぎりを続け
淋しさはこのからだに 消えては灯るちらちら明かりのように
仮の世のたわむれに 酔うて唄って夜が明けた

酔うた心に身を任せ 人気のない街を歩く
大通りの曲り角に ほら赤い灯が見えるじゃないか
熱いうどんを一杯 湯気をあげてすすろうか
きょうは少し寒いね 焜炉の火鉢がうれしいね
酔い醒めの夜明けには 笑った顔がよく似合う

もういく度こんな風に 夜が明けるのを見たのだろうか
顔ぶれもさしてちがわず いない人がちらりほらり
いく時代かがすぎてゆき それでも同じことをくり返し
淋しさはこの体に 消えては灯るちらちら明かりのように
仮の世の静けさに 酔うて騒いで夜が明けた


20.あの小さな家

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

後ろを向いてきたわけじゃない
ひらすら歩いてきた
なのにいつも見えるのは
子供の頃のあの家
朝日を受けて立っていた
あの小さな家
傍には川が流れて
柿の木が一本
風が吹けばがたがた揺れる
雨が降れば雫がしみとおる

破れた障子の穴からいつも
庭に咲いた花が
風に揺れているのを
見ていたあの頃

冷たすぎる風に震え
遠い山の道を
ひとりでとぼとぼ歩いた
あの寂しい黄昏
夕日を受けて立っていた
あの小さな家
屋根から鳥が飛び立ち
赤い陽に染まった

幸せだったわけじゃないのに
風のにおいがいつまでも消えない
今はもうどこにもない
あの小さな家
今はもう帰れない
あの小さな家

後ろを向いて来たわけじゃない
ひたすら歩いてきた…


21.雪柳

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

雪の白さよりもっと白く
咲いていたよ雪柳
あなたとはじめて夜を過ごした
その朝に

雨の淡さよりもっと淡く
咲いていたよあじさいの花
ぬれた体をあなたのコートで
つつんだ夜に

風の甘さよりもっと甘く
咲いていたよ沈丁花
二人で暮らした部屋の窓の
その下に

めぐりめぐる季節の中で
別れても追いかけて 求め続けた

海の青さよりもっと青く
澄んだ秋の空の中へ
出てゆくあなたに何をあげよう
その手に


22.時には昔の話を

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

時には昔の話をしようか
通いなれた なじみのあの店
マロニエの並木が窓辺に見えてた
コーヒーを一杯で一日
見えない明日を むやみにさがして
誰もが希望をたくした

ゆれていた時代の熱い風にふかれて
体中で瞬間(とき)を感じた そうだね

道端で眠ったこともあったね
どこにも行けない みんなで
お金はなくても なんとか生きてた
貧しさが明日を運んだ
小さな下宿屋にいく人もおしかけ
朝まで騒いで眠った

嵐のように毎日が燃えていた
息がきれるまで走った そうだね

一枚残った写真をごらんよ
ひげづらの男は君だね
どこにいるのか今ではわからない
友達もいく人かいるけど
あの日のすべてが空しいものだと
それは誰にも言えない

今でも同じように見果てぬ夢を描いて
走りつづけているよね どこかで


23.百万本のバラ

作詞:A.Voznesenskij・日本語詞:加藤登紀子
作曲:R.Pauls

小さな家とキャンバス 他には何もない
貧しい絵かきが 女優に恋をした
大好きなあの人に バラの花をあげたい
ある日街中の バラを買いました

百万本のバラの花を
あなたにあなたにあなたにあげる
窓から窓から見える広場を
真っ赤なバラでうめつくして

ある朝 彼女は 真っ赤なバラの海を見て
どこかの お金持ちが ふざけたのだとおもった
小さな家とキャンバス 全てを売ってバラの花
買った貧しい絵かきは 窓のしたで彼女を見てた

百万本のバラの花を
あなたはあなたはあなたは見てる
窓から窓から見える広場は
真っ赤な真っ赤なバラの海

出会いはそれで終わり 女優は別の街へ
真っ赤なバラの海は はなやかな彼女の人生
貧しい絵かきは 孤独な日々を送った
けれどバラの思い出は 心にきえなかった

百万本のバラの花を
あなたにあなたにあなたにあげる
窓から窓から見える広場を
真っ赤なバラでうめつくして

百万本のバラの花を
あなたにあなたにあなたにあげる
窓から窓から見える広場を
真っ赤なバラでうめつくして


24.I LOVE YOU

作詞:尾崎豊
作曲:尾崎豊

I love you 今だけは悲しい歌聞きたくないよ
I love you 逃れ逃れ 辿り着いたこの部屋

何もかも許された恋じゃないから
二人はまるで 捨て猫みたい
この部屋は落葉に埋もれた空き箱みたい
だからおまえは小猫の様な泣き声で

きしむベッドの上で 優しさを持ちより
きつく躰 抱きしめあえば
それからまた二人は目を閉じるよ
悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に

I love you 若すぎる二人の愛には触れられぬ秘密がある
I love you 今の暮しの中では 辿り着けない

ひとつに重なり生きてゆく恋を
夢みて傷つくだけの二人だよ
何度も愛してるって聞くおまえは
この愛なしでは生きてさえゆけないと

きしむベッドの上で 優しさを持ちより
きつく躰 抱きしめあえば
それからまた二人は目を閉じるよ
悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に


25.ダニーボーイ

作詞:アイルランド民謡・日本語詞:加藤登紀子
作曲:アイルランド民謡

夏は去り バラの花も散り
あなたは今出てゆく
角笛の呼んでる響きを
おお ダニーボーイ
忘れないで
必ず帰って来ておくれ
夏の日も 冬の日にも
私はこのふるさとで
あなたを あなたを
待っています

いつの日か 花が枯れるように
あなたが死んだならば
あなたの眠るそのそばに
この山の
花を咲かせよう
牧場に日の輝く日も
谷間に雪降る日も
私はこのふるさとで
あなたを あなたを
待っています
あなたを あなたを
待っています


26.Deportee 流れ者

作詞:Woody Guthrie・Martin Hoffman・訳詞:田川律
作曲:Woody Guthrie/Martin Hoffman

桃の実は今赤く染まり
オレンジも刈り入れが終った
あなたたちはメキシコへ帰る
わずかなお金を手にして

さようならホワン さようならロザリタ
Adios mis amigos, Este susi Mana
誰もあなたの名前を知らず
ただ流れ者と呼ぶ

監視の目をくぐって来た よけいもの
仕事が終れば帰って行く
600マイルかなたのメキシコへ
追われにくまれきらわれて

さようならホワン さようならロザリタ
Adios mis amigos, Este susi Mana
誰もあなたの名前を知らず
ただ流れ者と呼ぶ

飛行機はロス・ガトスの空で
火と燃えて丘に墜落
枯葉のように散ったあなたたち
ラジオじゃ名前も言わず

人間と認められず
死んでさえ 名前も知られず
その手で育てた オレンジさえ
口にするうれしさも知らず

さようならホワン さようならロザリタ
Adios mis amigos, Este susi Mana
誰もあなたの名前を知らず
ただ流れ者と呼ぶ

さようならホワン さようならロザリタ
Adios mis amigos, Este susi Mana
誰もあなたの名前を知らず
ただ流れ者と呼ぶ


27.雨はいつか

作詞:告井延隆
作曲:告井延隆

一人で旅に出るのなら
一人歩きのさびしさを
沈む夕陽のまん中に
燃やしてしまえそれからさ

たどりついたこの街に
遠い明日の夢を見る
このままここで休もうか
ぬれた瞳のかわくまで

雨はいつか上がるもの
雲はいつか切れるもの
くよくよしないで歩くのさ

遠くで長いくり返し
枯嵐の中に凍てついた
そんな心のかたすみに
おぼえておこうこれだけは

雨はいつか上がるもの
雲はいつか切れるもの
雨はいつか上がるもの
雲はいつか切れるもの
ゆれる心の果てるまで


28.ANAK(息子)

作詞:Freddie Aguilar・訳詞:加藤登紀子
作曲:Freddie Aguilar

母の胸に抱かれて おまえは生まれた
喜びの朝をはこんで
寝顔を見つめるだけで うれしさがあふれる
父はおまえの明日を祈った
夜には母さんがねむりもせずミルクをあたためた
朝には父さんがおまえを抱きあげてあやしてた

おまえは大きくなり気ままな自由を求めた
母はとまどうばかり
日に日に気むずかしく変わってゆくおまえは
話を聞いてもくれない
嵐の吹き荒れる夜におまえは突然出て行く
おまえを呼びとめる父や母の声をふりすてて

時は流れておまえは今
すさんだ暮らししてると聞いた
息子よおまえに何があったのだろうか
ひとり暮らしの月日に
おまえの胸には母の声が今聞こえてる
遠く離れた母の声におまえは泣いたよ


29.あなたに捧げる歌

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

砂に書いた愛の言葉は
寄せる波に消えて
荒れた土に咲いた花も
いつかは枯れる
まして愛する言葉もいえずに
別れて行く人に
今夜ここで逢えたうれしさ
どうして伝えよう

できることなら燃えるこの手に
あなたを抱いて
二人をへだてる川の流れに
身を沈めていたい
届かぬ愛の激しさゆえに
揺れるこの胸に
今夜ここで逢えたうれしさ
忘れずにいたい

ラララ………

届かぬ愛の激しさゆえに
揺れるこの胸に
今夜ここで逢えたうれしさ
忘れずにいたい

今夜ここで逢えたうれしさ
忘れずにいたい


30.水のように

作詞:清水邦夫
作曲:坂田晃一

細い露地をまわれば
夢の中で走り疲れた人が
いっぱいいます あなたをもとめて
もどってきて欲しいのです この町へ
もどってきて欲しいのです この路地へ
……水のように輝やいていたあの頃

古い橋を渡れば
想い出に歩き疲れた人が
いっぱいいます あの日のように
もどってきて欲しいのです この町へ
もどってきて欲しいのです この橋へ
……水のようにゆらめいていたあの頃


31.逢瀬

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

後姿のさびしい男に かける言葉は見つからない
肌をよせるには冷たすぎて ただだまって歩いていた
一番電車に 乗りましょうか
それともこのまま別れましょうか
二人でいればなおさら さびしい夜明けの裏通り

後姿のさびしい男は 言葉でひたすら笑っていた
安い酒場でほらを吹いて 酔える限りに酔いどれた
誰もいない夜空の下で
声をあげて歌おうか
朝が来るまでこのままずうっと
抱き合ってねむろうか

後姿のさびしい男は その背中でさえ笑ってみせる
使い古したコートのように さびしさもいきがりも色あせた
生きることは生き続けること
悲しいくり返し
二人でいればなおさら さびしい夜明けの裏通り
二人でいればなおさら さびしい夜明けの裏通り


32.私は修羅

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

海の広さの ただ中に
赤い血汐の ひとしづく
すべてこの世は ゆるぎなく
修羅の叫びを 誰が知る

怒りの炎 消えゆかず
憎しみ はぎしり ゆききする
乱れる心の つたなさに
あふるる涙 あてどなく

けわしき山の 岩肌に
小さく咲いた 花ひとつ
ただひたすらに 美しく
修羅は地に伏し 涙する


33.戦争は知らない

作詞:寺山修司
作曲:加藤ヒロシ

野に咲く花の 名前は知らない
だけども野に咲く 花が好き
ぼうしにいっぱい つみゆけば
なぜか涙が 涙が出るの

戦争の日を 何も知らない
だけど私に 父はいない
父を想えば ああ荒野に
赤い夕陽が 夕陽が沈む

いくさで死んだ 悲しい父さん
私はあなたの 娘です
二十年後の この故郷で
明日お嫁に お嫁に行くの

見ていて下さい はるかな父さん
いわし雲とぶ 空の下
いくさ知らずに 二十才(はたち)になって
嫁いで母に 母になるの


34.蒙古放浪の歌

作詞:村岡昊
作曲:園山民平

心猛くも 鬼神ならず
人と生まれて 情はあれど
母をみ捨てて 波こえてゆく
友よ兄等とは 何時亦会わん

波の彼方の蒙古の砂漠
男多恨の身の捨てどころ
胸に秘めたる 大願あれど
生きては帰らむ 希はもたじ

朝日夕日を 馬上に受けて
星の示せる どうじゃを行かば
砂は逆巻き 嵐も何ぞ
我は越えなん 千里の砂漠


35.絆 ki・zu・na

作詞:加藤登紀子
作曲:村上てつや・妹尾武

命尽きる瞬間に 一筋の光 受けて
生きた時間の全てを 消えゆく心に刻む
地平線の彼方へ 誘(いざな)うものは運命
悲しみと痛みに 縁どられた レクイエム

どんな時も走りつづけ ゼロに帰るまで

あふれる愛に抱かれても たどりつけない
手にした夢の重さだけ 人は闇をくぐる

激しい川の流れを こぎ渡る小さな木の舟
修羅の涙に運ばれ あらがえぬ波に打たれる

どれほど夢 越えたなら 愛に気づくだろう

哀しいほどに追いかけても 心は届かず
見えない愛の深さだけ 人は 求め合う

あふれる愛に抱かれても たどりつけない
手にした夢の重さだけ 人は愛を刻む

この胸に残された 心の絆 消えない


36.子連れ狼

作詞:小池一雄
作曲:吉田正

「小高い丘の城跡のくずれかけた東家で
その子は父を待っていた。
この日の朝には帰るはずの父であった。
それが三ッ目の朝となり、四ッ目の夜が来て、
五ッ目の朝が雨だった。」

しとしとぴっちゃん・しとぴっちゃん・しとぴっちゃん
しとしとぴっちゃん・しとぴっちゃん・しとぴっちゃん

哀しく冷たい 雨すだれ
おさない心を 凍てつかせ
帰らぬ 父(ちゃん)を待っている
父(ちゃん)の仕事は 刺客ぞな

しとしとぴっちゃん・しとぴっちゃん
しとしとぴっちゃん・しとぴっちゃん

涙かくして 人を斬る
帰りゃあいいが 帰らんときゃあ
この子も雨ン中 骨になる
この子も雨ン中 骨になる
あ…大五郎まだ三才(みっつ)

しとしとぴっちゃん・しとぴっちゃん
しとしとぴっちゃん・しとぴっちゃん

しとしとぴっちゃん・しとぴっちゃん
しとしとぴっちゃん・しとぴっちゃん

さびしくひもじい 北風
こけし頭を なでていく
帰らぬ 父(ちゃん)はいまどこに
父(ちゃん)の仕事は 刺客ぞな

ひょうひょうしゅるる・ひょうしゅるる
ひょうひょうしゅるる・ひょうしゅるる
涙かくして 人を斬る
帰りゃあいいが 帰らんときゃあ
この子も風ン中 土になる
この子も風ン中 土になる
あ…大五郎まだ三才(みっつ)

ひょうひょうしゅるる・ひょうしゅるる
ひょうひょうしゅるる・ひょうしゅるる

ひょうひょうしゅるる・ひょうしゅるる
ひょうひょうしゅるる・ひょうしゅるる

「六ッ目の朝、霜がおりた。
季節の変わり目をつげる別れ霜が…」

雨風凍って 別れ霜
霜踏む足が かじかんで
父(ちゃん)をさがしに 出ていく子
父(ちゃん)の仕事は 刺客ぞな

ぱきぱきぴきんこ・ぱきぴんこ
ぱきぱきぴきんこ・ぱきぴんこ

涙かくして 人を斬る
帰りゃあいいが 帰らんときゃあ
この子も霜ン中 こごえ死ぬ
この子も霜ン中 こごえ死ぬ
あ…大五郎まだ三才(みっつ)

ぱきぱきぴきんこ・ぱきぴんこ
ぱきぱきぴきんこ・ぱきぴんこ……


37.宛のない手紙

作詞:ぺク・チャンウ・日本語詞:加藤登紀子
作曲:ぺク・チャンウ

おまえの肩を抱きとめて
たったひとつ尋ねたいことがある

どうしてあなたは死んだのか
どうしてあなたは敗れたのか

重い扉を開けるように
夜明けの闇を照らすように
つきあげる想いをうたいつづけた

あふれる涙が川になり
叫んだ言葉が鳥に変わる

求め合う心が
いつかとどくだろう
愛と自由が出逢うとき

根を切られても花は咲き
草は絶えても空を見る

美しく生きていたいのに
人はどうして生きられない
暗闇の中を流れ流れて

あふれる笑顔が壁を破り
ひびき合う歌が空をこえて

求め合う心が
いつかとどくだろう
愛と自由が出逢うとき

愛と自由が出逢うとき